恐怖のドライブ

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 今日は俊輔の誕生日。それなのに些細なことで言い合いになった。「電車で帰る」とアパートの部屋から出た俊輔を走って追いかけた。 「今日はもう家に帰る」  と、子供のように拗ねている膨れっ面に、私も売り言葉に買い言葉で「じゃあ帰れば」と突き放した。  意固地になって家に戻ったけど、やっぱり気になって俊輔のアパートへと車で向かっている、それが今だ。俊輔を追いかけているだけなのに、私はカマロに追いかけられている。    真っ赤なスポーツカーはスピードを上げた。やっと諦めてくれたのかと胸を撫で下ろしたのも束の間、車線変更して私の前に割り込んできた。  やばい……これはやばい。煽り運転で動画に上げられてるやつだ。恐怖で身が竦む。  け、警察に、で、電話……は運転中だから無理。どうしたら……。  そうこうしているうちに、信号は赤。私は手が震えた。赤いドアがゆっくりと開く。車の中から出てきたのは、ガタイのいい色黒のお兄さん。身体を揺らしながらこっちへ向かっている。  も、もうダメかもしれない! 怖いよ、俊輔! 俊輔!   「ちょっと、姉ちゃん」  ごついリングをいくつもはめている太い指が、窓を叩く。私は半泣き状態で震えている。 「ごめんなぁ、怖がらせるつもりはないんだけど、ちょっと窓開けて」
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