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いやいやいや! この状況で窓開けたらグーパンでしょ! とりあえず鍵はかかってるし大丈夫……と思い、色黒兄ちゃんを見た。目が合うとホッとしたような表情で私を見下ろしていた。
また窓を二回叩いて何やら話しかけてくる。そして後ろの方を指差していた。
何言ってるんだろうか、少し気を許してしまい窓を開けた。
「給油口が開いてるよって、ずっと言いたかったんだけど、なんか怖がらせちゃったみたいでごめんなぁ」
――え?
「信号変わりそうだから、俺が閉めとくよ」
「あ、はい! ありがとうございます!」
軽く手を振ると、色黒兄ちゃんは給油口の蓋を閉めて急いでカマロに戻っていった。
さっき、セルフのガソスタで慌てて給油してうっかり閉め忘れてたんだ。ゆっくりと大きく息を吐いた。
信号は青。カマロはそのまま走り出し、あっという間に小さくなった。私はまだ心臓がバクバクしている。
ホッとした今、俊輔の笑顔を思い出した。気が緩んで涙が落ちる。謝って誕生日のお祝いをやり直そう。そして、カマロの話をしたら、拗ねた子は笑ってくれるかな。
本当に怖かったんだよ、俊輔。
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