第3話 チョウピラコ

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第3話 チョウピラコ

 双子の妖怪であるユイとヒナは、本当にソックリである。  見分ける方法は、アホ毛の有無と口調だ。  妹のヒナにはアホ毛がない。  語尾が「~ですの」、いわゆるちゃんだ。  ユイとヒナは、ハブラシやタオルなど生活に必要な品々を置き始めた。  2人の着物の袖から、あらゆるものが出てくる。 「わたし妹をこの家に置いてください」  この家に住む前提で話をすすめる妖怪の姉妹。 「座敷わらしなら大歓迎だが、ふたつ条件がある。俺のことはお兄様。あるいは、おにいちゃんと呼ぶこと。もうひとつは、家の中では靴を脱ぐこと」 「土鍋を貸してくださいですの。私たちの寝床にしますの」  キミらは大きめの猫なのかな?  彼女たちの身長は120センチほどだ。  小ぶりな土鍋に収まるとは思えない。  どうでもいいが、ホントに人の話を聞かないんだね、キミたち……。  ユイとヒナは、直径20センチほどの土鍋にピタリと収まった。  妖術で体を小さくできるとのことだ。  丸くなって鍋に収まる2人の姿が可愛すぎる。  天使か!  是非、この家に住んでください!  思わず、心中(しんちゅう)で叫んでしまった。
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