第3話 チョウピラコ

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「この家に住むなら、靴を脱いでもらおうか!」  ユイの靴を力のかぎり引っ張ってみるが、激しい抵抗を受けた。  頭突きからの鼻フックはやめて。普通に痛い。 「しんのすけのあほぉ!」  足をバタつかせながら、ユイが指を鳴らす。  俺の頭頂部に火が点いた。半分ほど髪が燃えてしまったようだ。  ヒナに渡された手鏡で確認すると、俺の頭部は焼野原と化していた。   「わたくしは、水と電気を操ることができますの」  人差し指から出した水で、ヒナが燃え盛る俺の頭部の消化をしてくれる。 「ユイは何が使えるんだ?」 「激おこプンスコ丸なんだぞっ!」  ユイは、ご機嫌ナナメだ。少し懐かしいことを言いながら、頬を膨らませてソッポを向く。 「お姉さまは、火と電波を操れますの」  空気の読めるヒナが、超端的に説明してくれた。 「2人そろえば、ライフライン(電気・水道など)を確保できるということか」 「わたくしたちは『チョウピラコ』。最高ランクの座敷わらしは、に1人と決まっていますの。どちらを家におくか選んでくださいですの」  妖怪組合の決まりで、妖怪は1軒に1人しか住めないらしい。  ヒナの表情は、ちょっと寂し気だ。 「わたしと妹で殴り合いをして決めましょうか?」 「それはヤメて……。やっぱり、すぐに決められないから、少し時間をくれる?」  ユイとヒナは、互いの顔を見合わせる。  2人同時にうなずいた。 「とりあえず、ですが、よろしくね!」    出来て日の浅いワインのような挨拶をユイが繰り出す。  不束者(ふつつかもの)と言いたかったようだ。
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