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座敷わらしが来てから、すべてにおいて順調だった。
FXで一瞬にして失った資産1億を取り戻した。
ユイとヒナは、早朝から家の中を走り回る。
俺も朝早くから目が覚めるようなった。
おかげで体調もいい。
元気なのはいいことだが、困ったことがある。
俺の顔を踏んづけていってくれることだ。もちろん靴を履いたままだ。
「しんのすけお兄ちゃん、おはよう! 朝ですよ!」
本日の当番はユイのようだ。
毎朝起こしてくれるは助かるが、早すぎる。
ただいまの時刻、午前4時なり。
就寝時間と起床時間が同じ場合がある。
命日と誕生日が同じだったほどに辛い。
「足で顔を踏まれて喜ぶ年齢は、とうの昔に過ぎている。というか、靴を脱げ」
俺を無視して、妖怪2人は走り去った。
室内が泥だらけになるのは困る。
せめて、靴の裏をきれいにしてから家に入ってほしい。
バレないように、床と同じような色の足ふきマットを、いたる所に敷いてみる。
いつもと同様、元気な2人は室内を走りまわる。
ものすごく長い足拭きマットに交換するも、カベを走って回避する。見事なまでにマットを避けて行くのだ。
靴に吸盤が付いているのかと思えるほど、見事な走りだった。
「何日もクツを履いたままだと、納豆みたいなニオイがしてくるぞ」
「毎日替えてるからダイジョウブ!」
ユイは着物の袖からウエスタンブーツ1足を取り出す。
同じデザインのブーツは全部で366セットあるの! と、得意気な表情でユイが付け加えた。
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