第3話 チョウピラコ

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 座敷わらし(ユイとヒナ)が来てから、すべてにおいて順調だった。  FXで一瞬にして失った資産1億を取り戻した。  ユイとヒナは、早朝から家の中を走り回る。  俺も朝早くから目が覚めるようなった。  おかげで体調もいい。  元気なのはいいことだが、困ったことがある。  俺の顔を踏んづけていってくれることだ。もちろん靴を履いたままだ。 「しんのすけお兄ちゃん、おはよう! 朝ですよ!」  本日の当番はユイのようだ。  毎朝起こしてくれるは助かるが、早すぎる。  ただいまの時刻、午前4時なり。  就寝時間と起床時間が同じ場合がある。  命日と誕生日が同じだったほどに辛い。 「足で顔を踏まれて喜ぶ年齢は、とうの昔に過ぎている。というか、靴を脱げ」  俺を無視して、妖怪2人は走り去った。  室内が泥だらけになるのは困る。  せめて、靴の裏をきれいにしてから家に入ってほしい。  バレないように、床と同じような色の足ふきマットを、いたる所に敷いてみる。  いつもと同様、元気な2人は室内を走りまわる。  ものすごく長い足拭きマットに交換するも、カベを走って回避する。見事なまでにマットを避けて行くのだ。  靴に吸盤が付いているのかと思えるほど、見事な走りだった。 「何日もクツを履いたままだと、納豆みたいなニオイがしてくるぞ」 「毎日替えてるからダイジョウブ!」  ユイは着物の袖からウエスタンブーツ1足を取り出す。  同じデザインのブーツ(くつ)は全部で366セットあるの! と、得意気な表情でユイが付け加えた。
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