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「この乾いて粉を吹いた物体は何?」
「妖力を使い果たしたお姉さまですの」
勝手に淹れた緑茶をすするヒナ。慌てることなく、カサカサ状態のユイを、楊枝の尖った側でつつく。
ユイはピクリともしない。だんだん心配になってくる。
「乾いた妖怪は、もとに戻るのか?」
「まわりの湿気をすべて吸って、24時間で復活しますの」
夏は吸湿材として活躍しそうだ。
「もっと早くならないか? なんだかユイが可哀そうだ」
「復活の儀を執り行いますの。お鍋でジックリ・コトコト煮込めば、30分で復活しますの」
妖怪のいい出汁がとれそうだ。
「はじめちょろちょろ中ぱっぱ。妖怪が飛び出してもフタ取るな、ですの」
言いながら、ヒナは儀式とやらの準備をはじめた。
ヒナのやろうとしていることは、セレモニーというより罰ゲームに近い気がする。
「3分で復活できる方法がありますの」
ヒナが乾燥した妖怪をレンジに入れようとしている。
だが、ヒナの表情は、いまひとつ冴えない。
「レンジでチンすると、姉はもれなく死にますの……」
やめてあげて……。
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