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ドラマではありがちな話
「このままですと、もって半年でしょう」
向井直輝の両親は、とある大学病院の医師にそう宣告された。母親は椅子から崩れ落ち、父親の方も動揺を隠せない。
「息子を助けてやって下さい。やれることは何でもします」
か細い声を震わせながら父親が言うと、医師は冷静に答えた。
「今すぐに手術が必要です。遅くとも一週間以内に」
そこまで告げると、母親は床に膝をついたままで医師にしがみついた。
「お願いです!息子を救ってください!あの子はまだ九年しか生きてないんですよ。これじゃあ余りにも‥‥‥」
その後の言葉が続かず、項垂れるようにして母親は泣き崩れた。
「分かりました。こちらとしましても緊急の手術になりますが、何とか手配を致します。大丈夫です。一週間以内でしたら息子さんは助かりますから」
医師は足元で泣き続けている母親に一度視線を向けた後、その顔を上げて父親に向き直った。
「気をしっかり保ってください。あなた方が不安そうにしていては子供さんにも伝搬します。それと、親御さんにもやらなければならないことがあります」
「何でも言ってください。私共に出来ることでしたらなんだってします」
妻が取り乱している以上自分がしっかりしなければという意思が、涙をこらえている父親の目からも読み取れる。
医師は努めて冷静に父親に告げた。
「あなた方のやるべきこと。それは、お子さんの説得です」
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