0人が本棚に入れています
本棚に追加
直輝の病室へと向かう両親の足取りは重かった。医師の話では、一週間以内に手術すれば九分九厘助かるだろうと言われ、幾分冷静にはなれた。それでも手術をすれば問題ないよ、と言うのと、手術をしなければ命が危ないんだ、と言うのとでは、息子に与える印象も随分変わってくる。
言葉一つ間違えてこじらせてしまい、手術なんて嫌だと駄々をこねられたら大変なことになる。あの後、釘をさすように、一週間を越えたら、手術の成功率は二次関数的に低くなってしまうと医師に言われていたのだ。
病室の前で一度立ち止まり、二人は深呼吸を二度繰り返すとお互いの顔を見合わせ、双方で頷くと病室へと入った。
最初のコメントを投稿しよう!