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9.貧乳はオフ会でもお持ち帰りされない
「リアルで会ったら、君を抱きたい」
そんな事を、ネットで知り合った男Rからは言われていた。その中年男性は、言葉巧みに私の心に入り込んできた。
写真を見る限り、普通のおっさんだ。でも、とても優しい。ならば、会ってみて寝てみて付き合ってもいいかもしれない。そんな、甘い考えで私はその人との一対一でのオフ会に向かった。
「「こんにちは、初めまして」」
お互いが友好的なオフ会だった。歌舞伎町を散策して、ランチを食べて、ちょっと飲んで……でも……何だか物足りないな、この人。
ニコニコしていて感じは良いのだが、私が強い酒を煽ろうとすると止めて来る。放っておいてくれ、私は強い酒でも平気で飲むんだ。
それに、話題が続かない。こちらが何か言うと相槌は打つが、会話のテンポが悪い。
それにしても、どの段階でホテルに行くの?
そもそも、このおっさんに抱かれて良いものなのか? 本当にいいのか、私!?
そんな私の心中をよそに、男性はただひたすら街を散策しようとしてくる。
大分歩き疲れたし、発展しない会話の流れにも疲れて来た。計画性もイベントも無いデート、ぶっちゃけつまらないし苦しい。
大分ヤル気も萎えてきた頃、お開きになった。
あれ……? 「リアルで会ったら、君を抱きたい」ってどうなった!?
何か私悪い事をしただろうか。まずはその日の服装を顧みてみる。
ジーンズにTシャツ。体の線にフィットしていてかっこいいじゃないの。って、まさか、女の子らしくない格好していたから萎えたとか!? いや、待てよ。この服装、貧乳が目立つじゃないの!?
そうか。またしてもこの貧乳は私を守ってくれたのか。
抱かれるかどうか悩むくらいなら、その男には抱かれない方が良い。それは、この先も教訓として私の中に残り続けた。
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