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「向こうに回ってください。」
彼女は頑として運転席の扉をつかんだままだった。
「オ…僕。が、運転します。こういうのは男に委ねた方がいいって。」
「あなた。」
「えーあなた?」
悲しそうな顔をみせてみた。
少し俺の行動に戸惑っているようだったが、しっかりと俺を見つめてくれた。
そして顔を赤くしながらも、上目遣いに…。
「ハン…。」
「うん!」
呼び捨てにされて、俺は胸が高鳴り自然と笑みがあふれ出ていた。
「さん。以外でしたらね。」
この瞬間を楽しんでくれたら、いいのに…笑顔がカワイイのに気がついてないなんて。
「さん…か。俺は呼び捨てでいいのに。」
俺のふてくされた顔での一言一言に彼女は、忙しく表情を変えて俺に魅せてくれた。
「ハンさん!は。財布も携帯もないんですよね?本当はあるけど、やっぱり番組ですか?私は海を飛び越えて韓国のバラエティー番組にでも出るんですか?…うわーって喋っちゃいましたけど、分かりましたよね?」
「うん。」
「…うっ。」
自分がどんな表情をしたらいいのか?
彼女が俺に何を求めているのか?
仕事柄なんとなくだけど、わかる…うん。多分な。
子犬のように可愛らしく返事を言ってみせた。
彼女はすぐに俺に背を向けた。
うん。だけで、そんなに喜んでくれるなら…。
俺は!?
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