第六章 オレ。

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「あ、優子…さん。信号青だよ!」 「え?あー。」 俺が呼び捨てで彼女を呼ぶたびに、彼女は眉間にしわを寄せる。 と、ほぼ同時に…俺に見られないようにニヤリとする表情が可愛くてたまらない。 ニヤリとしながらも彼女は怒るから、優子さんと数秒後に言い直させられるけど…カワイイ。 ーニヤニヤしながら 私を見ないでくれるかな…。 なんて言ってそうな顔だ。 フッ。 彼女の心の声が俺は、手に取るように聞こえてきた。 いや、俺でなくても、わかると思う。 ただ、 俺が彼女を見つけたあの瞬間の… あの寂しそうな表情をさせるような人に、これから先会ってほしくない。
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