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「あームリ!」
彼女はそう声を上げると、すぐに目に着いたコンビニに車を乗り入れ停めた。
「びっくりした…うん?どうした?」
急に声を上げた彼女だったが、俺に顔を背けたままだった。
緊張しすぎて体調でも悪くなったのかと、心配になり彼女の顔を覗き込んだ。
すると彼女は、無表情のまま覗き込んだ俺の顔をただただ見ていた。
「うん?」
俺は俺で、動揺を悟られたくなくてとびっきりの笑顔で彼女のリアクションを待っていた。
フッ。
彼女は、この状況を冷静に分析しているんだとすぐにわかった。
俺は、不敵な笑みさえ彼女に魅せてみた。
すると今度は彼女は目を見開き、さらに俺を見つめていた。
記憶されてる?
フッ…オモシロい。
「あーううん、そうなんだ。」
さっきみたいな俺の顔が好きなんだな?
目をそらした彼女の視線に、俺は顔を近づけながら追いかけてみた。
「あーふぅ。ゴホッ…。」
本当に体調崩しそうだな。
咳き込んだ彼女から離れ、優しく微笑み彼女を凝視して彼女の女の反応を待ってみた。
「私で楽しんでません?」
「うん。あ、いいや…なんか飲み物買ってこようか?」
あっ。
俺のこの一言で、彼女はさっき見せたニヤリとした俺の表情をまねると、疑いの眼差しで見つめていた。
財布は持ってないのは、事実だったが…現金は持ってる。
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