第六章 オレ。

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「あーえっと。ぼ、オレはその。」 嘘はもう…いいよな? 「オレをここで捨ててったり、優子はしないよね?」 「捨てる?まさか、それで!!ホテルの名前覚えてますよね?」 「はい、すみません。」 「フフッ。」 俺の言い方が面白かったのか、彼女はようやく笑顔を見せてくれた。 やっぱり笑顔が、可愛い。 ずっとこうして見つめていたい…あんな悲しそうな顔は絶対してほしくない。 「優子?俺が運転するよ。実家、ナビ入れてくれれば、その通りに運転するし…緊張するんだろ?」 「ホテルの名前いれますね。」 ナビを操作し始めた彼女だったが、俺は一緒にいたかった。 心配が先にくるけど、ただただ一緒にいたいそう思った。 「忘れた。」 即答した俺に彼女は、険しい表情で俺を見返していた。 「は?」 「優子…さんフッ、顔怖いんですけど。一緒にいたいんだ、優子はいたくない?」 映画やドラマのようにカッコいい、キュンとくるようなセリフなんて急にはでてこない。 「そっ…んなこと、かる…軽々しく。」 彼女の喉を勢いよく何かが通り抜けたのが分かった。 けしてカッコいいとは言えない言葉だけど、俺の気持ちは伝わっていたようだ。
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