8人が本棚に入れています
本棚に追加
「あーえっと。ぼ、オレはその。」
嘘はもう…いいよな?
「オレをここで捨ててったり、優子はしないよね?」
「捨てる?まさか、それで!!ホテルの名前覚えてますよね?」
「はい、すみません。」
「フフッ。」
俺の言い方が面白かったのか、彼女はようやく笑顔を見せてくれた。
やっぱり笑顔が、可愛い。
ずっとこうして見つめていたい…あんな悲しそうな顔は絶対してほしくない。
「優子?俺が運転するよ。実家、ナビ入れてくれれば、その通りに運転するし…緊張するんだろ?」
「ホテルの名前いれますね。」
ナビを操作し始めた彼女だったが、俺は一緒にいたかった。
心配が先にくるけど、ただただ一緒にいたいそう思った。
「忘れた。」
即答した俺に彼女は、険しい表情で俺を見返していた。
「は?」
「優子…さんフッ、顔怖いんですけど。一緒にいたいんだ、優子はいたくない?」
映画やドラマのようにカッコいい、キュンとくるようなセリフなんて急にはでてこない。
「そっ…んなこと、かる…軽々しく。」
彼女の喉を勢いよく何かが通り抜けたのが分かった。
けしてカッコいいとは言えない言葉だけど、俺の気持ちは伝わっていたようだ。
最初のコメントを投稿しよう!