第七章 時間

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「そうだったんだ?」 俺のその言葉に彼女は、驚きを隠せなかったようだった。 「違うなら、聞く必要ないよね?」 冷たいかもしれないけど…今思う気持ちを言葉にしてほしくて。 俺は意地悪かもしれないが、彼女に微笑んでみせた。 「ズルいですね。」 彼女は唇から血でも出るんじゃないだろうかと思うほど、噛み締めて俺を見つめていた。 ズルい? 「はあ、みんなそう、私の大好きだったあの人だってそう。」 目にたくさんの涙を浮かべ、彼女はようやく言葉にしてくれはじめた。 「愛してる、好きだ。とか、大丈夫、頑張ってるよ。頑張って!とか、言いながら影で私のこと裏切って別な人と付き合ってるし、その人と何言ってるかわかったもんじゃない!」 彼女は吐き出したあと、溢れ出した涙を拭っていた。
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