第八章 運命

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「聞いてます?あ、えっと?」 通じなかったと思ったのか?韓国語で言い直してくれようとしていた。 「あ、うん。聞き取れたから…座席の操作だよね、あ、アハハッ。」 俺が座席の位置を合わせるのを確認すると、彼女はナビを起動させた。 「運転ありがとうございます。」 ハンドルを掴み、前方を確認していると彼女は俺の顔を覗き込んできた。 「え?ああ、国際免許あるから…うん。」 さっきまであきらかに彼女の方が、緊張していたはずなのに? 「ハンさん?」 そう呼ばれ、俺はいったいどんな顔をしたんだろうか? 「やっぱり…私が運転しましょうか?」 さっきまで涙でいっぱいだった大きな彼女の瞳に、俺が写っているのがわかった。 「うん?あ、こっちあんまり見ないでくれるかな?」 「え?何言ってるんですか?」 「うん?あ、ハハッ。」 あーなにがおかしいんだろうか? 俺は、なぜ笑ったんだ?
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