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「そうだ!!どうかされたんですか?クッ…。」
完全に彼のペースに自然と日本語では話してしまい、舌を噛んだ。
「大丈夫?」
とっさに聞かれた言葉は、やはり韓国語だった。
「え?はい、大丈夫です。あっ…。」
私を見て彼はまた意地悪そうにニヤリと微笑んでいた。
負けたくない!
一瞬そう思った私は、できる女だと思われたくて…。
「あ…えっと。うんと…。」
勉強していたとはいえ…
地味に、それもダラダラと勉強していた為、思い返そうとしたものの、さっきは話せたのに、なかなかでてこないもので。
変な間が、私と彼を取り巻いていた。
「あ、日本語で大丈夫です。僕のこと…分かってくれて話してくれようとしてくれているんですよね?」
大好きな俳優さんである彼が、サラリとこうして母国語以外の言葉を勉強して話してくれるものだからファンとしては甘えてしまう。
「なかなか、難しくて…。」
「はい。わかります。」
これまた私に微笑んでくれる。
彼が出る作品を見ることしかできない私って…。
と思い、うつむきそうになる。
どんな運命か?
こうして会えた奇跡に逢いながらも…素直に喜べない。
「あ!あ…フッ、僕、実は。」
彼は私に顔をあげさせ、自分を見つめさせると。
また一歩、彼は私に近づき…
彼はその大きな手を広げ、
口元にそえ、私の耳元で。
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