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フランク
(シーマ…やったよ!成功だ!僕はついに自由になれるんだ!)
夜中になると、フランクはベッドから起き出し、そっと屋敷を抜け出した。
どうしても、シーマと結婚したいフランクは、しばらくの間、仮死状態になる薬を手に入れた。
ロザリアとの結婚式前夜にそれを飲み、死んだと思い込ませる作戦だった。
ロザリアの家族と一緒に夕食を摂り、その後、フランクは薬を飲んだ。
彼の計画はうまくいった。
薬は彼の体を死人のように変え、誰もがフランクの死を信じた。
そして、次の日の夜中頃にはフランクは無事に意識を取り戻した。
ただ、予想外のことが起きてしまった。
それは、フランクの亡骸が消えたことが広まり、町中が大騒ぎになってしまったことだ。
それだけではなかった。
フランクは一刻も早くシーマに会い、町を出たいと考えていたが、シーマの傍には、彼女のことを心配する親友・メリッサがずっと付いていて、話しかける機会がなかった。
ここで誰かに姿を見られたら、フランクのやって来たことはすべて無駄になってしまう。
フランクは人目を避け、シーマに声を掛ける機会をひたすら待った。
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