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「行くよ。適当なとこに。まぁ、できれば、だけど……学費とか、何か問題があるなら言ってくれれば」
「あぁ、そこは心配ない。で、目標とかあるのか? サプライズ的な夢とか」
「ない。大学に行ってから考える」
「まぁそんなタイプだよな」
大それた夢はない。なるべく目立たないで生きたい。小者でいい。
「宇宙飛行士になりたいとか言われたらどうしようかと思ったよ」
「この環境で、あるかそんなもん」
夏樹はすこぶる上機嫌に笑って、さらりとボールペンで記入したプリントを人差し指と中指で挟み、ぴっと冬馬に差し戻した。
「おまえの高校行くの、初めてだな。入学式のときは仕事でどうしても行けなかったし……。楽しみだなぁ」
「やめてくれ……いいか、どうしても来るっていうなら、普通に来いよ、普通に」
「いつも普通じゃん」
「やらかしただろ! 小学校のとき! ただの授業参観に派手な白スーツ着てきやがって」
「あれはオシャレだって。若かりし頃のさぁ。いつまで根に持ってるんだよ」
「一生忘れるか!」
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