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2 当然、怒られました
「藤川くん、ちょっと」
放課後、教室で帰り支度をしていた冬馬は、洋子に呼び止められた。そして連れていかれた進路指導室で、体育教師も加えて二対一で、こってり絞られることとなった。
体育教師の山田毅は、廊下で言い負かしてやった女子生徒の担任だ。丸太みたいに太い腕を胸の前で組んで、仁王像のごとく目を吊り上げている。
「うちの学級委員を泣かせるたぁ、どういう了見だ」
知るか。
どうやら、ストーカー女に文句を言ったことが問題になっているらしい。
酷いことを言われたとでも教師に泣きついたのだろうか。なんてやつ、と冬馬は小さく愚痴った。逆恨みじゃないか。
事情をよくわかっていない洋子から説明を促され、冬馬は手短に答えた。
「しつこく手紙をよこしたりするので、迷惑だからやめてほしいと言いました」
「おまえ、なんだその態度は!」
そっけない返事にカチンときたのか、山田は倍ほど唾を飛ばす勢いで説教をはじめた。
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