2 当然、怒られました

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 大声でまくしたてながら「器が小さい」とか「男たるものは」などと語り始めて何を言っているのかよくわからない。  だが要は、お昼を過ぎたあたりから彼女の様子がおかしくなったと。  彼女が午後の授業をまともに受けられなくなったのは冬馬の言動のせいだと責められているようだ。 (そんなこと言われても――)  当然だが、こちらは叩いたりなんだりの暴力行為はしていない。  彼女と廊下で別れた後は、自分は教室に戻り、午後も普通に授業を受けた。  一方、あちらは授業が始まってからもめそめそと泣いていたらしく、それに気づいた友人らが騒ぎ出し、ついには保健室送りになったという。 「知りませんよそんなこと……。迷惑を迷惑と言っちゃいけないんですか。好きでもないのに我慢して仲良くしろってことですか」 「そういうことじゃなくてだなぁ!」 「山田先生、落ち着いて。声がうるさいです」  洋子が体育教師をなだめ、能面なりに呆れた顔を冬馬に向けてきた。 「蓮田(はすだ)さんには、具体的に何を言ったのよ、藤川くん」  彼女は蓮田という名前だったか。まぁどうでもいいことだが。
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