2 訃報

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     *  それから後は、どうやって家まで帰ったかも、よく覚えていない。  夏樹と言葉も交わさずにとぼとぼ歩いて、帰宅した後もそれぞれの場所で、外が暗くなるまでぼんやりと時間を過ごした。 (楓義母さんが、亡くなった……?)  夏樹も知らなかったようだ。道中、何度も「冗談だよな……」と呟いていた。楓には親しい親戚もいなかったし、別れた元旦那にまで訃報を知らせるような関係者はいなかったのだろう。 (嘘だろ……)  実感がわかない。涙は出ないが、とてつもなく不快な、不安の塊に押しつぶされそうな気がしている。  その夜は、とても疲れているのになかなか寝つけなかった。  考えてもぐるぐる回るだけ。現実感もない。ただ用水路の泥みたいに濁った気持ちだけが、ぬめって渦巻いていた。
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