3 現実感がないままに

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 そう尋ねると桜はぐっと詰まった顔をした。だが、 「もういいの。関係ないんだから。あんたたちとは、もう他人なんだから」  ――他人。  そう言われて、さすがにムッとしてしまった自分は冷たいのだろうか。  テスト前にも関わらず、わざわざ来たというのに。  尻尾を振って駆け寄ろうとして、思いきり張り飛ばされた犬のような気分だった。  いっときでも家族だった者同士、手を差し伸べられればと思ったのに――けれどそれは、勝手な独りよがりに過ぎなかったのか。  なんだかもう、気持ちもなにも、めちゃくちゃだ。目を逸らしていいのなら、そうしたい。  こちらが黙っていると、桜はプイと顔を背けて、建物に戻っていってしまった。  それなら、こちらも帰るしかない。だが、それでいいとも思えた。できることはやったんだ。もうこれからは、なるようになるのだろう。      *  疲労感を抱えながら地元の駅に戻ってくると、あたりはすっかり暗くなっていた。  
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