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「え? は、はぁ……」
ビニール袋に山ほどのリンゴが入っている。田舎から箱で取り寄せたらしい。
お裾分けはありがたかったが、それからが長かった。おばちゃんはとてもおしゃべりで、既婚者で旦那もいるが、夏樹の熱烈なファンなのだ。
「こないだ雨の日のゴミ出しの日にね、袋が破れちゃって大変だったんだけど。夏樹さんが手伝いましょうかって言ってくれてね。うちの人なんて休みだからって寝こけてたのに……。優しいんだから、もう。信じられないくらい男前よねぇ」
「いや~……はぁ……」
始まってしまった。どうぞと言いつつ袋もなかなか渡してくれず、おばちゃんの話は途切れそうもない。とっとと家に入ってのんびりしたいのだが、勝算のないことはわかっている。
三十分以上、立ったまま長話につき合わされて、
「それじゃあね。お父さんによろしくね」
「はい、おやすみなさい……」
ようやく門を閉める頃には、日の色が変わっていた。
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