5 凶事は突然に

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(お隣のおばちゃんちにも聞こえているだろうな……。また近所の噂になっちゃうよ……)  これで夏樹も反省してくれればいいのだが。  どこかすっとした気分を抱きながら、他人事として考えていた。      *  翌朝は、ゴミ出しの日だった。  通学の前に所定の場所に置いてこなければと、詰めたゴミ袋を掴んでドアを開けると、落ちくぼんだ目をした女性が玄関前に立っていて、目が合った。 「えっ……?」 「あら、おはようございます」  にっこりと笑った女性には、見覚えがある。商店街でわざとぶつかってきた、ひっつめ髪のスーツの女性――。  なんで、門の中まで勝手に入ってきてるんだろう。  こちらが言葉をなくしていると、 「部長はいらっしゃいますか。今日は会社に出られるというので、一緒に通勤しようかと」 「はぁ……えーと……」  ぐるぐると視線が定まらない。父を呼ぶか。やばいんじゃないか。どうしたらいいんだ。  間もなく様子がおかしいことを察した夏樹が、玄関先に現れた。着替えは済ませていたが、髪のセットはしていない。 「ちょ……根本(ねもと)くん? 何やって……」
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