9人が本棚に入れています
本棚に追加
/42ページ
次の日は私は椿のところに行くことができなかった。
最後の一文が今でも頭の片隅にあって私の心をジクジクとさせていた。
「棚田さん今日一緒に帰らない?」
私は帰る方向が同じだけど、滅多に話さない学友に声をかけてみた。
(椿のリストを達成するためだもの。頑張らないと)
棚田さんはしばらくおしだまったが、笑顔になると、いいよ、とこたえてくれた。
「桜ちゃんいつも一人で帰ってたから声がかけづらかったけど、誘ってもらえて嬉しいな!突然どうしたの?」
棚田さんは優しく私に話しかけてくれる。まさか,リスト消化のために声をかけたとは言えず、私は適当に誤魔化した。
「私も前から一緒に帰りたいと思っていたけど勇気が出なくて・・・これからも時々でいいから一緒に帰ってくれたら嬉しい」
そうポソっと喋ると、棚田さんは嬉しそうに満面の笑みを浮かべていう。
「もちろんだよ!毎日一緒にかえろうね!そうそう、桜ちゃん私のことは舞ってよんでね!」
舞はグイグイ距離を詰めてくるタイプらしい。正直言ってそのタイプは苦手だったが、舞は嫌な感じがしなかった。
「ありがとう舞、よろしくね」
舞は私の返事に満足したのかふんわり笑うと私の手を握った。
「早く渡らないと信号赤になっちゃう!」
その自然な触れ合いが私にとっては初めての体験で新鮮だったが、何故かとても嬉しかった。
最初のコメントを投稿しよう!