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遠い未来
「じゃあ行きましょうか桜ちゃん」
児童福祉施設の職員さんはとても,優しくて暖かかった。
小さいバックに荷物を詰めて、私は病室を後にする。
病院の入り口には椿のお母さんが待っていてくれた。
「桜ちゃん!絶対にまたあいましょうね。その時は椿も一緒に!」
椿のお母さん技涙に潤んだ瞳でわたしを見つめてくれる。優しいこの人が大好きだった。
「あの、椿に手紙を作ったんです。これ、渡してください。」
そう言って通販で買ったボイスレコーダーを椿のお母さんに手渡した。
「手紙も考えたけど、読むのは大変だと思うから、これにしました。どうか椿に渡してください」
それを受け取ると大切な宝物を受け取ったように、椿のお母さんは綺麗なハンカチを取り出すと丁寧に包んだ。
「必ず渡すわ。桜ちゃん、どうか元気でね」
そう言って私を痛いくらい抱きしめてくれた。
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