レコーダー

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しばらく後、わたしはようやく気持ちが落ち着きおばあちゃんとタクシーに乗り込んだ。 道中わたしはおばあちゃんから色々な話を聞かされた。 ずっとわたしを心配して、引き取ろうとしてくれていたこと。 合わせてもらえなくてわたしにずっと手紙を送ってくれていたこと。 それは全て母によって破棄されていたこと。 特に手紙の事は心が抉られた。心配してくれていたおばあちゃんに私はお返事すら書くことを許されていなかったのだ。 「あの子はもうあのこじやなくなってしまったの。悲しい事だけど、仕方ないのよ。どうか許してあげて。あの子の代わりに私が貴方を愛しますから」 おばあちゃんは涙ながらにわたしにそう言って両手を握ってくれた。 人の温かさに触れたのは椿以来はじめてだったので私は少し照れてむず痒くなったが、それ以上に嬉しかった。
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