遠くの星

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椿はあと2週間入院したら退院して自宅療養になるそうだ。 椿の自宅は電車で3駅と近かったので、家に帰っても会いに行くことを約束した。 楽しい時間はあっという間でわたしは面会終了時間になって椿のお母さんに車で家まで送ってもらう事になった。 「椿、元気になったでしょ?いちじはどうなるかわからないところまで悪化したけど、椿の生きたっていうか気持ちでなんとか乗り切ったの。その後は運がよかったの。移植を待っている人は沢山いるけど、いつ手術を受けられるかもわからないから。でも椿はその運も勝ち取った」 椿のお母さんは淡々と喋る。 「椿は桜ちゃんと出会うまで、生きるのを諦めて余生をどう生きるかばかり考えていたようだったのに、貴方と会ってからは生きたいと強く思うようになったみたいなの。わたしには話してくれなかったけど桜ちゃんはあの子の遠くの星だったのよ。長い航海中進む方向を示してくれる明るい星」 わたしはそれを聞いて涙ぐんだ。 椿はそこまでわたしの事を考えてくれていたなんて、私は本当に椿に感謝した。 そこまで求めてくれる人がいるのはとても幸せな事だったから。
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