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「すごい!!桜とっても綺麗な音だったよ!」
椿は目をキラキラ輝かせて拍手してくれた。
「なんか恥ずかしいな・・・間違えずに吹けてよかった」
そう言ってリコーダーをしまおうとすると、椿はサッと手を出してそれを制した。
「ねえ!それ僕も吹けるかな?やってみたい!」
私は椿が小学校に憧れを秘めているのを感じていたから、少しでも小学校というものに触れさせてあげたいと思っていたから快諾した。
「じゃあまずは指は気にせずふーって息を吹いてみて、音が出るから」
椿は頷いてふーっと息を吹き込む。
「ピーッ」
弱々しい音が鳴り響く。
「ハハッ!僕でも音が出た」
椿は嬉しそうに笑った。
「ね!簡単でしょ。じゃあ次はドレミから順番に教えていくね」
そう言って私は椿の横から椿の指をそうっと触って塞ぐ穴のところに誘導する。
すると、ドレミの音が弱々しかったが確かに鳴ったのだった。
「すごい!ドレミの音がでたね!」
私が椿を褒めると椿は涙目になり、やがて嗚咽を漏らしながら涙をポロポロ溢した。
「どうしたの!?私、何かいやなことした?」
ビックリして問いかけるが、椿は頭を振ってひたすら涙をこぼして泣き続けた。
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