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「何を言ってるの、レオ。私は嫌ってなんて⋯」
「縛りたくなんてないんです、僕だけを見て欲しいだけ、それだけ⋯」
「レオ待って、私は」
「だからお願い、セリ、どうか僕を⋯」
「レオ!!」
なんだか胸を締め付けられるような気がし、気付けば私は声を荒げて彼の名前を呼んでいた。
“ーーこのレオの姿は、レオの持つ感情は。予言書の通りなら本当は私のモノだったのかもしれないわ”
予言書の中の彼は、そんな私を嫌悪したようだったけれど。
今、私にすがるような瞳を向ける彼が、何故だかとても愛おしく感じた。
“絶対に彼を破滅なんかさせないし、私だって予言書の通りに破滅なんかしない⋯!”
まだ何からすればいいかはわからないけれど。
それでも私にはこの『攻略本』と書かれた『予言書』があるのだ。
“やれることはまだまだあるわ。もう一度予言書を読み直し、対策をたてて⋯そして⋯”
ヒロインと初めて会った時に感じたざわつく黒い感情。
これがもし“悪役令嬢”だから感じたものだったとしたら、きっと今その感情に戸惑っているのは“ヒーロー”になるはずだったレオだから。
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