1.破滅を阻止する簡単な方法、なんてものはない

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1.破滅を阻止する簡単な方法、なんてものはない

いつかこのコレクションは全てセシリスにあげような、というお祖父様の言葉を聞き、「だったら今すぐこの本ちょーだい!」と駄々を捏ねまくって『こうりゃくぼん』を貰ったのが7歳の時。 私はすぐに夢中になってその本をベッドに持ち込みうきうきと中を読み始め、そしてすぐに気付いた。 「セシリス・フローチェ公爵令嬢(悪役令嬢)⋯?私と同じ名前⋯?」 自分の名前と共に書かれている肖像画は、7歳の私とは全然違った大人の女の人だったが、根元が黒で毛先にいくにつれ紫になる髪色に碧眼という特徴は私と同じで。 「それにこの、(悪役令嬢)って何なのかしら⋯?」 いや、悪役令嬢という意味自体はわかる。 悪役の令嬢ってことなのだろう。 意味自体はわかるが、誰に対しての“悪役”なのか等は書かれておらず⋯ 「他に書いてあるのは、ヒロイン、あとメイン攻略キャラ⋯どういう意味かしら?」 何故“異世界から来た聖女”の持ち物に自分の名前が書かれているのかなどわからないことがいっぱいで、ただただぽかんとする。
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