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7.マウントとは取られた側よりも案外本人にダメージが来る、事もある
アリスの声に驚いた私は、気付けばドン、とレオを突き飛ばしてしまった⋯のだが、それはレオの自業自得だと思う。
と、いうかそれよりも。
“レオンルートじゃないのだとしたら、この世界は誰のルートなの⋯!?”
悪役令嬢と配役された私の婚約者がレオである事は間違いない。
しかしその婚約者が私の代わりに『ヒーロー』じゃなく『悪役令息』になったのなら⋯
「ほら、セリ様も嫌がっておられますよ!というか人前でとかどういう神経してるんですか!?マウントなの!?」
「ま、マウント⋯っ!?」
「は?あんたに関係ないし、あと“セリ”って僕だけが許された愛称だから呼ばないでくれる?」
むぎゅ、と私に抱き付きつくアリスと、冷ややかな視線で私の体感温度を下げにかかるレオ。
“家族も友達もセリって呼んでる事バレないようにしなくちゃ⋯!?”
なんて一瞬現実逃避しつつ、一触即発な雰囲気を出してる二人に挟まれて私は恐ろしい事実に気付きはじめていた。
“悪役”じゃなくなった私の配役ってもしかして、『ヒロインの恋の相手』なのかしら⋯!?
“まずい、それはとてもまずい⋯っ!!”
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