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“ひえぇ!どうして『楽にしていいよ』の合図が『色目を使った』になるのよ⋯!?”
不敬としか思えない婚約者の対応に一気に冷や汗をかくが、そんな態度も全く気にしていない様子の殿下はそのままアリスの方に振り向いた。
「あの犬に睨まれて怖くはなかったかい?」
「え?あ、いえ⋯大丈夫です。ありがとうございます」
“ー⋯あら?”
王族である殿下が、ただの洗濯メイドに対する態度とは思えないほど優しい口調で話しかけている。
“も、もしかして⋯!”
「アリス貴女、ヴァレリー殿下とシーツ越しに会わなかった!?」
「え⋯?」
もしここで彼女が頷けば、それはヴァレリー殿下の“出会いイベント”と名付けられた『予言』の通りということで。
“イケる、イケるわ、今から私に割り当てられたこの配役を殿下に擦り付ける⋯!!”
私には予言書がある。
予言の通りに『イベント』とやらを起こせば、強制力が働き新しい配役になるかもしれない。
そして上手く殿下を『ヒーロー』にする事が出来たなら。
“ヒーローとヒロインは結ばれるし、私も、そして悪役令息になったレオも破滅することはないわ!”
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