1.紙コップのコーヒーを温める

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そして疲れの原因は給湯室で盛岡に絡まれたから。 だから。 彼からの謝罪だから、なんて都合よく解釈しちびちびとコーヒーを口に運ぶ。 上からも気に入られる気遣いを実感しつつ、喉を通るコーヒーのその火傷しそうな熱さにホッとした。 「はぁ⋯もう少し、頑張ろ⋯」 熱々のコーヒーのおかげで少しリフレッシュ出来た私がその日の仕事をなんとか終えると、事務室の鍵を持った盛岡も立ち上がる。 「なに?あんたも終わったの?」 「まぁ、そんなとこ」 たいして興味もなかった私は、ふぅんと聞き流し彼と共に会社を出て。 「駅まで送る」 なんて言われて驚いていた。 「は?いらないわよ、このくらいの時間なんていつもだし」 「何、山形いつもこんな時間まで残業してんのか?効率悪すぎだろ」 「効率悪いですって!?私は念には念を入れるタイプってだけよ!」 「抜けるとこ抜かねぇと倒れるぞ」 「あんたには関係ないでしょ!あんたは同期であって上司じゃないの!」 少し見直したなんてやっぱり幻想だった、と内心思いつつ反論すると、わざとらしいほどの大きなため息を吐かれて。
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