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初顔合わせ
ギスギスしたまま、日曜日になった。
華子は嫌々ながらも、食事会には出席してくれるみたいだ。ふてくされたまま、お父さんの車に乗り込む。顔合わせに向かった先は、ホテルのレストランだった。
横に長い机を挟んで、両家が向かい合って座っている。
「はじめまして、春風くん、奏多くん。多香子さんとお付き合いしている、鈴宮正信です。華子、未来。こちら、上原多香子さん。そしてそのとなりに座っているのが、春風くんと、奏多くんだ。」
「どーもー」
ブスッとした顔は崩さずに、華子がつまらなさそうに言った。
「上原多香子といいます。よろしくね、華子ちゃん。未来ちゃん」
多香子さんは優しげな微笑みを浮かべて言った。病気で亡くなったお母さんとは正反対の性格だ。お母さんは華子と性格が似ていてスパッと物を言う人で、病気なのにいつも笑顔で笑い飛ばしてくれて、明るい人だった。
お父さんはあえて真逆の性格の人を選んだんだろうか。思わずまじまじと多香子さんをみてしまう。
「ほら、春風、奏多! ご挨拶して!」
そう言われて、私の前に座っている男の子が、多香子さんそっくりの優しげな笑顔を浮かべ、挨拶した。
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