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「あたし、ふたりの再婚、反対してます。さっきからろくに挨拶もしないで睨んでくるバカもいるし、なおさらやだ! 大体、再婚って言っても、どうせお父さんのお金目当てで再婚するんでしょ? 人の良さそうな顔して、がめついったらないわ」
それを聞いて声をあげたのが奏多くんだった。
「てめぇ、黙って聞いてれば偉そうに。大体、再婚することになったのも、テメーの親父が母さんを妊娠させたからだろ? 自分の父親の事は棚にあげてよく言うぜ!」
鼻で笑う奏多くん。意地悪な顔をしていて苦手だ。奏多くんの言葉を聞いて、弾かれたように華子がお父さんの方を見て叫んだ。
「はあ!? 妊娠って何よ、聞いてない!」
「言ってないもんなあ……」
頭をポリポリかいて言う、お父さん。
「おな、お腹に赤ちゃんがいるってこと?! だから再婚するの?!」
いつも堂々としている華子が珍しく動揺している。そんな華子の心境を察してか、お父さんがゆっくりとした口調でこう言った。
「そうだ。順番が前後してしまったが、新しい家族として、赤ちゃんも一緒に迎えられたらと思っている。華子、未来、お姉ちゃんになるんだぞ。まだ弟か妹かは分からないけど、めでたいこととして受け止めてくれないか?」
それにすかさずつっこみをいれたのは、奏多くんだった。
「なにがめでたいんすか。脳内花畑もいいとこっすよ。どんな野郎が出てくるかと思えば、冴えないただのおっさんじゃん! 正直拍子抜けっすわ」
奏多くんの言いように、華子が切れた。
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