白黒の恋人

1/7
前へ
/7ページ
次へ
恋人が死んだ、らしい。 不幸な事故だったと聞いた。 、というのは僕には恋人の顔を思い出すことが出来ないからだ。 恋人がいた事はなんとなく覚えているのだが、何が好きで、何が嫌いで、どんな人だったのか、遂には性別にいたるまで僕にはほとんど記憶がないのだ。 かけてしまった思い出達。僕は、それを悲しむほどの思い出すらも持ち合わせてなかった。 「あの人は、だったから」 僕が納得のいかない顔をしていると、共通の友人だったらしい友人はそう言った。 夜の人、という言葉を聞き慣れず首を傾げる僕に友人は言った。 「吸血鬼だよ」
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加