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「・・・・・・どうやって?」
男子生徒は疑いながらも、興味をしめし近づいてきた。あまりに奇麗な顔だから俺は必要以上にドギマギして咄嗟に目をそらす。
しかし直ぐに自分の行動にハッとし、ドギマギしないよう背中を反らせて彼と距離をとる。
そして心が落ち着いた辺りで、冷静に話し合いを始める。
「その委員会のトップである俺はいろんな権限持っているんですよ。生徒会長や風紀委員長にも勝るような。
親衛隊解散権とか役職剥奪権とかクラスを変えたりとか。」
全て張本人の了承が必須の条件付きではある。
しかし今目の前にいる彼を対象とするなら、その条件も障害にはならない。
「俺の特権を使えば、長い長い休みを過ごせますよ。」
それを聞いて彼は驚いて、暫く何も言わなくなった。
俺の委員会の漠然とした活動内容は知っていても、委員長権限まで知っている人は少ない。おそらく彼もそうだったのだろう。
俺の委員会はあまり表立って活動していないが、学園側から生徒たちを守るために最大限の権利が与えられている。
それゆえに委員会には大きな責任があり、俺が強姦なんてしようものなら即退学。その後諸々の請求が待っている。
無論、それは他の委員会メンバーも同じだ。
だから極力そんなことが起きないようにこの委員会のメンバーは審査を通過した人格的な問題が皆無な生徒のみで構成されている。
それがここの学園限定の美化委員会なのだ。
長い沈黙の後、彼は恥ずかしそうに頬をかいてはにかむ。
「・・・そう、それに縋るのも恥ずかしいな。」
「知られたくないのであれば、美化委員会は守秘義務は守ります。
俺たちはもしばらせば即退学というリスクを背負っているので安易な行動は絶対しません。」
彼とちゃんと目を合わせ、力強い口調で断言する。
「俺たち以外でこの事実を知るとしたら運営に携わる一部生徒のみ、彼らももちろん信用に足る人物です。・・・それでも厳しいですか?」
運営に携わるトップの生徒には伝えないとこの権限も成り立たないので、ここは嫌でも納得してもらうしかないと、緊張しながら返事を待つ。
その間彼は少し考えるような素振りをして、俺に質問する。
「ちなみに、誰か教えてもらえるかな。」
「会長と風紀委員長の2名です。」
それを聞くと、彼は安心して一息ついた。俺は安堵感をよりいっそ強固なものにするため、説得を続ける。
「美化委員会は表向き相談室でおしゃべり委員会ですから、そんな権限あるなんて誰も想像つかないですよ。先輩も分からなかったでしょ。」
夜が終わり始め、空はうっすら白んで柔らかくオレンジがかる。俺は滅多にみられないこの光景に目を奪われる。
鳥の一斉に羽ばたくに反応して外した目線を戻し、彼を見てみれば表情からは棘が消え穏やかになっていた。
彼は一歩前に出て真っ直ぐ俺を見据える。そしてようやく俺のことを信用してくれたようで、すっと手をさし出す。
「じゃあお願いしようかな。俺は3年S組の白津葉。」
「俺は2年の江西東です。では、行きましょうか。葉先輩。」
俺は先輩の手を握り返して、屋上を跡にした。
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修正途中、白津葉という生徒の名前が鹿野葉になっていることにようやく気付きました。別人過ぎました。
勢いだけで書くもんじゃないと過去の自分に説教しています。
多分アニメしかのこにもろ影響されて最初の名字にしたんだと思います。
名字違うな、と思った方すいません。
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