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俺は葉先輩を自室まで案内して、リビングの机を挟んで向き合う。
「では、整理します。葉先輩に対して行使されるのは役職剥奪権。
親衛隊に使われるのは親衛隊解散権。+役職もちじゃなくなるので授業免除権を先輩に付与する形になります。
寮はどうしますか?一人部屋がいいならそのままにもできますよ。」
葉先輩は寮のことについて自分から言うつもりだったみたいですぐ返事をした。
「そのままがいいな。役職もちじゃないのにちょっと気が引けるけど。」
「大丈夫ですよ。役職もちの方々は察してくれると思います。」
話が順調にまとまってきているとはいえ、流石に今日からというのは厳しい。
授業免除の件は教師達に一斉メールすればいいだけだから問題ない。
だが役職剥奪権については生徒会長と風紀委員長に伝達しないといけないし、親衛隊解散権については親衛隊総括に話をつけないといけない。
そのためどんなに頑張ったって先輩の望む生活が送れるのは明日からになる。
「すみません、今日は間に合わないので休むか登校してもらわないといけません。休みますか?」
「いや、行くよ。親衛隊長には直接一言言わないと・・。」
葉先輩は親衛隊長を思い浮かべて、苦虫を嚙み潰した顔をした。その表情には正直嫌という先輩の本心がダイレクトに表れていた。意外と幼い部分もあるんだなと思わずにはいられなくて、笑いがこみ上げてくる。
「ははっ。先輩、顔に出過ぎですよ。」
葉先輩は俺の表情見るなり驚いて、照れくさそうにそっぽを向く。
俺がそれを見て生暖かい目で微笑んでいると先輩はジトっとこっちを見る。視線が痛いので流石に揶揄うの辞め、小さく咳をして最終確認に入る。
「ゴホン。・・それはともかく、嫌なのに登校するなんてすごいですよ。俺だったら確実に休みますね。」
「そう・・なのかな。」
登校することを褒められたのは初めてだったのか、いまいち腑に落ちず首をかしげる。
「葉先輩。」
俺の改まったような口調に、先輩は少し体をこわばらせる。
「我慢しているのなら、しなくていいです。本当は嫌なら、俺が親衛隊長に伝えますよ。」
その提案を聞いて先輩は動揺を抑えるように自分の胸に手を当てて、深呼吸をする。じっくりその提案を吟味した後、決意が固まったのか胸に当てた手を膝におき優しい笑みを浮かべて首を横に振った。
「・・ううん。やっぱり俺が言うよ。ありがとう、励ましてくれて。」
その穏やかな表情に俺自身も知らぬ間に微笑んで「よかったです。」とうわ言を呟いた。
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主人公見ている感じ、こいつ誰状態になってます。
今の私の中の主人公は人とは一定の距離をとっているイメージなので修正前の頭をワシャワシャする彼は偽物ですね。
この調子なら、修正が恐ろしいことになりそうです。
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