1.優しい先輩

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生徒会室に向かうといった会長と別れて、次に約束を取り付けた生徒の寮の部屋の前に立つ。そしてメールで今着いたことを知らせる。 扉の奥からバタバタと足音して、凄い勢いで扉が開けられた。  「早く入って、春樹が寝てる間に。」 俺はその指示通りに動いて、忍び足で彼の自室まで歩く。 家主は俺の靴を靴箱の奥に隠し、3回ほど消臭スプレーをまく。  「・・総括の部屋物騒過ぎないか。」  「仕方ないじゃん。同室者が同室者だし・・・。」 総括を訪ねるには、彼の保護者を何とかしなければならない・・らしい。 ルームメイトは幼馴染の従者で、彼の目の届く範囲で過度に仲良くすれば本家に報告されて、暫く接触できなくなると前総括本人に教えられた。 それで今まで何度か嫌な目にあっている総括は部屋に人を招くときは細心の注意を払うよう心掛けている。 自室まで案内してもらい俺はベッドの上に、総括はソファーに座った。落ち着いたところで総括は軽く足を組んで尋ねる。  「で、僕に話があるんでしょ。」 「ああ。」といって、特に姿勢も正さずお互いリラックスして向き合う。  「親衛隊を解散したいっていう申し出が出た。」  「えぇ!」 ソファーから立ち上がるほど驚き、大きな声を出しかけたのでこれ以上音が響かないよう素早く総括の口をふさぐ。 「総括、50dB以上は出さないようにしよう。」 焦り焦り忠告すると、総括はコクコクとそれは元気いっぱいに頭を縦に振る。 そして少し間をおきクールダウンさせ、大丈夫な様子を確認してパッと手を放した。  「・・・本題に戻るが、今日は3年S組の白津葉先輩の親衛隊を解散させてほしいってことを言いに来た。」  「白津君かー・・。」 葉先輩が自殺未遂をした原因である親衛隊。勘違いしないで欲しいのは親衛隊の全てがここまで狂気的な組織ではないということだ。 親衛隊は学園設立当初、人気のある生徒を守ることを目的に作られた。 それが今ではファンクラブ化しているのは事実だが、基本はお熱なファンが収容されているだけの害のないグループだ。 そんな本来形から変わった親衛隊は親衛されている生徒によっては色が出る。 分かりやすいのが、委員長の親衛隊だ。 委員長の親衛隊は正義を重んじる勤勉な性格をそのまま反映したかのような、真面目な生徒たちが主になっている。 目の前にいる総括の親衛隊も同様独自性がでている組織になっている。 総括はTHE美青年で中性的だからもちろん、人の目を引きつける。 そんな彼は誰とでも分け隔てなく話せる明るさを持ち合わせており、内面的にも人気が高い。そして積極的にお茶会を開き、ファンとも交流をして程よい距離をとっている。 そんな接触の仕方が功を奏したのか、総括は『交流できるアイドル』の立場で上手く学園生活を送れている。 そんな総括の親衛隊は善良オタクばかりで、食堂で総括が歩けばオタ芸をしたり、コールを入れ始めお祭り状態になることが多々。 傍から見ていても面白いので、総括と食堂に行くのは少し楽しみだったりする。 今問題となっている葉先輩の親衛隊は、笑えないレベルの狂気的な生徒を抱えいる。 葉先輩の性格が反映されたとしたら、本来親衛隊のメンバーは純粋で優しい生徒が大半を占めるのではと思うだろう。 最初はそうだったのだ。 彼は定期的にお茶会を開いて、親衛隊と交流を欠かさなかったし、一時一番統率が取れた組織になるほど機能していた。 それが崩れたのは、親衛隊隊長が病的に葉先輩を求め始め、葉先輩がそれに応じるようになってきた辺りからだ。 できるだけ一緒にいないと、自傷行為に走る親衛隊隊長を葉先輩が放っておくわけがなくどんどん葉先輩は彼の対応にのめりこんでいった。 しかし、そこで面白くないと思ったのが他の葉先輩の親衛隊員たちだ。 あまりに葉先輩が彼にばかり構うから、どんどん嫉妬心・妬みが募っていった結果今年の3月、彼らはついに爆発してしまった。 親衛隊員はなんと親衛隊隊長と同じ方法をとって、自分に葉先輩が意識を向けるように仕向け始めたのだ。 それでも葉先輩は最後まで彼らを見捨てることなく、毎日いろんな暴れ馬たちをここ2か月間ずっとたしなめてきた。 が、やはり限界が来た。それが今日の朝。 俺は葉先輩の詳細はぼやかして、とにかく親衛隊で葉先輩が苦しんでいるから解散命令を出してくれと頼んだ。 総括は、少し考えた後に真剣な顔で首を縦に振った。  「分かった、親衛隊には接触禁止令出すよ。解散も言ってはおくけど風紀委員頼みになるから、ヤバいやつらはお任せするからね。」 俺はそれを聞いて頬を引きつらせた。  「つまり・・・・全員ってことか。」  「・・・・そう。」  「アハハ・・・・・。」 そしてお互い頬を引きつらせた下手糞な笑みを浮かべて、暫く笑いあっていた。 笑えねえ・・。 ――――――――――――――――――――― ほとんどの文章変えました。ほぼ更新しているみたいなもんですね。 一発で文章完成させられる作者の方すごすぎます。 私の場合、見返す度に文章量が永遠に増えていきそうで怖いです。 初心者なの駄々洩れですね。 前よりよくなったと思います、私的には。
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