涙川が満ちるとき

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『次の模試の結果がよかったら、今度一日遊んでいいって』 『了解! 一つでも上の判定目指して頑張ろうね』 『頑張るぞー! 結果出たらまた連絡するね』  そんなやり取りを、つい二週間前にしたばかりだった。  高校一、二年生とは違い、三年生ともなると常に受験・就職の言葉が付いて回るようになる。私は進学すると決めていたので、受験勉強に勤しむ日々を送っていた。  そんな勉強漬けの毎日から唯一解放されるのが、友人と過ごす時間だ。学校の休み時間や放課後などではなく、休日に遊ぶ時間。あくまで息抜きであるため頻繁にとはいかないが、一時でも現実を忘れられるこの時間に私はとても救われていた。  だから、また遊べるときを楽しみにしてたのに。 「沙由梨ちゃんが、亡くなったって……」  塾から帰宅した私の耳に飛び込んできた言葉はかなり衝撃的で、返却された模試の結果などどうでもよくなっていた。
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