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「……よし、わかった。
おいらがサンタさんに頼んでやるよ。
君の家にプレゼントを届けてくれるようにって。」
「え……」
ルドルフはそう言うと少年が喜ぶものだと思っていたのですが、そうではありませんでした。
「嘘吐き!
そんなこと、出来ないくせによくそんな嘘が吐けるな!」
「嘘じゃねぇ。おいら、本当に…」
「もういいよ!
お前なんか、向こうに行っちまえ!」
男の子は、ルドルフに向かって雪を拾って投げつけました。
「や、やめろよ~!」
ルドルフは、その場から逃げ出しました。
今は何を話しても無駄だと悟ったのです。
ルドルフは走りながら考えました。
やはり、これはサンタさんに会わなければならないと。
寒い夜に仕事をするのはいやだけど、そんなことを言ってる場合じゃないと思いました。
ですから、渋々、サンタさんの所へ戻ったのです。
*
「こりゃあ!ルドルフ!
また仕事をサボって、逃げ出したな!」
「サンタさん、ごめんなさい。」
「……しかし、どうして帰って来たんじゃ?
仕事はまだあと一日あるのに…」
「実はね、サンタさん…」
ルドルフは、少年のことを話しました。
そして、どうか、あの少年の家にプレゼントを届けてほしいとお願いしたのです。
「話はわかった。
じゃが、その年にプレゼントを贈る子供のリストは決まっていて、おいそれと変えることは出来んのじゃ。」
「そこを何とかお願いします!
そうじゃないとあの子は…サンタさんやクリスマスのことを大っ嫌いになってしまう…」
「じゃが……」
「お願いです!!
おいら、もう逃げ出したりしない。
一生懸命働きますから!」
ルドルフは心の底からサンタさんにお願いしました。
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