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8
クラスメートたちは「気にすんなよ」と笑ってくれたけど、僕はみんなに顔向けができなかった。
絶対勝とうってみんなで盛り上がっていたのに、僕一人のせいでみんなの夢を台無しにしてしまった。
申し訳ない気持ちで押しつぶされそうになりながら、とぼとぼと保健室に向かって一人で歩いていると。
「コウタくん」
後ろから呼び止められて振り返ると、サトミちゃんがいた。
「さ、サトミちゃん」
「嘘、ついてたんだね」
「え」
どろんこを見るような目で睨まれて、全身が動かなくなる。
「アンカーってなに? スポーツ万能なんじゃなかったの? いつも手紙に書いてたのはどういうこと?」
「ち、違うんだよ、サトミちゃん……」
「何も違わないじゃない。もう、二度と手紙なんて送ってこないでください。さようなら!」
サトミちゃんはぴしゃりと言い放って僕に背中を向け、すたすたと遠ざかっていった。
雲一つない青空の下でふわりと揺れる三つ編みを、僕は追いかけなかった。
だって、どうしようもなくわかってしまったから。
たった今、僕は百パーセント振られたんだって。
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