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その夜、僕は落ち着かなくて部屋の中をぐるぐる歩いていた。
僕だってもう五年生。ちゃんと考えればわかる。
——科学的に考えて、ふれふれ坊主に効果なんてないってこと。
天気予報によると、一週間後の運動会の日は「快晴」らしい。予報が全部当たるわけじゃないけど、運動会が中止になるほどの大雨が今から降ることはほぼあり得ない。
このまま運動会が開催されてしまったら、僕の嘘がサトミちゃんにバレてしまう!
「ああ! どうしよう!」
「そんなに雨を降らせたいか」
「降らせたいに決まってる……って、誰!?」
突然聞こえた声にびっくりして辺りを見回す。けれど、部屋には誰もいない。
何周か部屋中を見渡し、ふと窓に目を向けた僕はあることに気がついた。
ふれふれ坊主の色が変わっている!
白かったティッシュの胴体は真っ黒に染まり、マジックペンで書いた顔は黄色くギラギラと光っている。
「気づいたか、小僧」
信じられないことに、声に合わせてふれふれ坊主の口が動いていた。
「ふ、ふれふれ坊主が喋った!?」
「坊主とは失礼な! 我輩はふれふれ魔王だ!」
「ふれふれ魔王?」
よくわからないけど、ふれふれ坊主のボス的な?
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