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 ふれふれ魔王さんはきちんと働いてくれたみたいで、次の日曜日は今まで見たことないような土砂降りが降った。  朝五時に学校から中止のアナウンスが届いた途端、僕はすぐにサトミちゃんに電話をかけた(普段は手紙でやりとりをしているけど、こういういざという時のために電話番号も交換しているんだ)。 「サトミちゃん、ごめん! 運動会が土砂降りで中止になったんだ」 『そっか……やっぱり。東京、雨すごいらしいもんね』 「だからさ、こっち来るなら、どこか雨風しのげるところで遊ぼうよ。僕のおうち来てくれてもいいし」 『ああ、それがね』  電話越しに聞こえる、サトミちゃんの少し困ったような声。 『実は、土砂降りで東京行きやめよっかって話してたところだったの』 「えっ」 『コウタくんの運動会があるからどうしても行きたくてお母さんたちに相談してたんだけど、運動会なくなるならしょうがないかな。また今度そっち行くとき連絡するね』 「そ、そっか……」  たしかに、この土砂降りでは東京駅からうちに来てもらうまででとっても危険だ。 「わかった。また今度ね」  残念だけど、サトミちゃんに会う機会はこれからもきっとあるはず。    なんなら、僕ら家族がまた和歌山に行けばいいんだ。今度お母さんたちに話してみよっと。  サトミちゃんちの畑のとれたてみかん、また食べたいなー!  ——そのみかん畑が自分のせいで大変なことになるなんて、この時の僕は考えもしなかった。
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