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『私の人生─…返してよ。』
「俺と実夏と生きていこうとは、思わない?」
『……お母さんになんて、なれない』
「あやねっ、」
『実夏ちゃんは私の子どもじゃない、これ以上私のことを縛り付けるのはやめてよ!』
──…大好きだよ。
出産の経験なんてないけど、許されるなら自分の子どもだって声に出して言いたかった。いつだって私の頭の中は実夏ちゃんでいっぱいだったよ、今だって…そうだよ。
「…信じ、られないっ…絢音はいつだって俺と実夏といる時は幸せそうにしてた。同じ気持ちで居てくれてると…思ってた」
『……ごめんなさい』
「仕事の邪魔はしない。海外に行ってもらっても構わない。仕事が終わればまた…ここに帰ってくればいいだけの話しだろ?離婚する意味が分からない。」
『言ったでしょ?家庭があると自由に出来ない』
「自由にすればいいっ…実夏は俺が育てる、」
『それは前にも聞いたっ!けど実際、一緒に暮らし始めてからは私に頼ることの方が多かったよね?』
─…そりゃそうだよ、私が”頼って”って言ったんだから。律希さんは間違ってないよ。今めちゃくちゃなことを言っているのは私の方だ。
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