Ritsuki

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「……パパ?おはよー、あや姉は?」 実夏がリビングに姿をみせたことで夜が明けたことを知る。どうやら俺は一晩中、この場を動けずにいたらしい。 目の前に置かれた紙切れを素早く折りたたんで片付け、実夏の目にとまらないように隠した。 『あぁ…仕事で、少し家を空けるみたいだ』 咄嗟に出てきたのがそんな言葉で…いつまでも隠し通せることでは無いと思いながらも、この状況をまだ受け止めきれない俺は、情けなくも実夏に嘘をついてしまった。 「……そーなんだ」 少し暗い顔をした実夏はすぐにいつもの元気な笑顔を俺に向けると、バタバタとキッチンに向かって走っていった。 …そうだ、プライベートで何があろうと仕事や学校は通常通り行かなければならないわけで。一人ここで腑抜けている場合ではない。 朝ごはんを作らなければ…っと、重い腰をあげたとき、キッチンでパンをトースターにセットしている実夏の姿が視界に入った。 『……実夏?』 「ん?あや姉、居ないときはミナが朝ご飯作るんだ!パンの焼き方も卵焼きの作り方も教えてもらったよ!パパが居ない時にあや姉と二人で練習したもん!すごいでしょ?!」 パンを焼いている間にホットプレートを用意して、油をひいた上に型を乗せ…その中に卵を落とし焼き始めた実夏を見て自分の目を疑う。 実夏が一人でここまで出来るようになっていたことを俺は全く知らなかった。
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