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たくさん触れ合ったあと、私を背後から抱きしめるようにして腕の中に閉じ込めた律希さんは
「帰ってきてくれて、ありがとう」
と小さく呟き、私の後頭部にチュッ…と口付けをする。それがなんだか恥ずかしくて…グルンっと身体を回転させて、誤魔化すように彼の頬に両手を添え…不意をついて唇を奪った。
『……ただいま、律希』
たまに私が使う呼び捨てに弱い律希さん。暗い照明の中でも分かるほどに…耳が少し赤くなっている。……可愛い。
「…ハワイ、行こうか」
私の顔にかかっていた前髪を横に流しながら…いきなりそんな驚きの発言をしてみせた律希さん。首を傾げた私を見て、優しく笑った彼は、
「結婚式、挙げよう」
なんて。私には一生縁のないものだと思っていたワードを口にした彼に、返す言葉が見つからなくてただただ律希さんの顔をジッと眺める
「やっぱりちゃんと、式は挙げておいた方がいいような気がして。…っていうのは建前で、本音を言えば俺が絢音のドレス姿を見たいだけ」
この人は本当に…無意識に女性の喜ぶ言葉をバンバン使ってくるから、胸の高鳴りが止まりません。
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