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「俺のも、少しやる。」
大皿に盛り付けられたホカホカのご飯。5枚ものハンバーグをもう一枚の大皿にのせる。
直人はその二つを悠人の前のテーブルに置いた。
「はい、今日二回目の夕飯。」
少しの嫌味も乗せて。
マキはその言葉に頬を引き攣らせて笑った。
「相変わらず…悠兄、変わってない…。」
「ん?どふひは(どうした)?」
何かを言い掛けた時の不穏な空気を醸し出していた時とは別人の様に、頬いっぱいのハンバーグをもぐもぐと幸せそうに食べている。
「「いや、なんでもない」」
疑問符を飛ばした悠人。
2人の声がかぶった瞬間だった--
「じゃあ、おやすみ。」
お風呂を終え、部屋に戻る為リビングに立ち寄ったマキは直人に声をかける。
「ああ、おやすみ。」
直人も返事をした後、ふと振り返ってマキを呼んだ。
「マキ」
「?何?」
「いや…スマホ、鳴ってたぞ。」
直人は躊躇うかの様に言うと、マキに背を向けてリビングの奥へ消えた。
「あ…スマホ、見るの忘れてた。」
マキは直人の様子に気付く事なく、部屋へ向かった。
「誰だろ。」
どこか声が弾んでいる自分を自覚する事なく。
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