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9.
ブルドーザが屍を掬いトラックの荷台に載せていた。
前方の屍二体を掬い終わりトラックの荷台に載せると…
こっちに向かってくる事がわかった。
「ヤバイぞ!」
俺は独り言を呟き…
屍をまたぎ直ぐ手前の細い路地に入る事にした…
路地はかなり薄暗く、日が感じられず…
淀んだ空気から多くの湿気を感じた。
ここで過去何かを売っていたのか?
シャッターが下がりここ数年、シャッターを上げた形跡が無いように見えた…
シャッターの横には階段があり…
俺は咄嗟に階段を上がった…
このような造りをした老朽化した建物は路地に密集していた。
すると、俺の足音に気付いたのか?
誰かが階段を上がりきったドアから現れた?
「ヤバいかも?」
俺は心の中で囁くいたが…
何故か不思議と怖れを感じる事は無かった…
むしろ怖れていたのは上から降りてきた人物…少年であった。
少年は俺の顔を階段を降りながら不安な面持ちで覗き込んでいた。
その少年の歳は7~8歳だろうか?
俺はなんて言葉を掛けていいのか戸惑ったが…
そんな時、思い出した…
あの時、駅員の無機質な声…
『もう電車は無い』を…
俺は通じると確信し…
「こんにちは」と声をかけた。
少年は、強張った表情で俺の姿を上から下まで舐め様に見ていた。
俺は階段の途中にいる少年に、今度は微笑みながらもう一度…
「こんにちは」と声をかけた。
すると少年の瞳が少し輝いて見えた。
そして俺が言葉を…
「俺は怪しものでは無い…ここは?」
と言いかけようとした時…
背後から慌しい足音が近づいてくるのを感じた…
少年が手を振り…
「こっち、こっち」と…
空いているドアから2階にある部屋へと導いてくれたのであった。
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